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更新日:2025年8月30日
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1979年にハブの駆除などを目的に人の手によって奄美大島に放された約30頭のフイリマングース。2000年には、約1万頭まで増え、分布も広がりました。
ハブ駆除の目的で持ち込まれましたが、ハブはあまり食べず、むしろアマミノクロウサギなど他の生き物を多く食べていることがわかりました。もともと奄美大島にいた生き物たちに深刻な影響を与え、生息数が減少し絶滅が危ぶまれるようになりました。
2000年から環境省による本格的なマングース駆除事業が開始され、生息数は減少。2024年に奄美大島で根絶を宣言するに至りました。その他の自然保護の取り組みも身を結び、クロウサギの生息数は回復傾向にあります。
詳しくは、環境省奄美野生生物保護センターのホームページ(外部サイトへリンク)をご確認ください。
マングース駆除をはじめとする自然保護対策が功を奏して、クロウサギなどの生息数が増加している一方で、車にひかれてしまう個体も増えて、人が新たな脅威となっています。
自然豊かな奄美大島では、生き物が暮らすエリアと人が暮らすエリアは重なることから、より一層の対策が必要となっています。
奄美大島ではハブの餌となるネズミを避けるためにネコを外で飼う習慣がありました。外で飼われたネコが繁殖し、特定の飼い主のいない「ノラネコ」が増え、一部は人里を離れた山で暮らす「ノネコ」となりました。現在でも飼育しきれず山に捨てられたネコが野生化してノネコになることがあります。
ノネコは生きるために山の中の様々な生き物を捕食しますが、アマミノクロウサギなど希少な在来動物を襲うこともわかってきました。大型の肉食獣のいない奄美の自然において、ノネコはクロウサギを脅かす存在となっているのです。
ノネコとなってしまったネコにとっても、安定して餌を得ることができず、ハブや感染症の脅威にさらされる野外で生活することは決して幸せなことではありません。
新たなノネコが増えないよう、奄美大島5市町村ではネコを飼育するためのルール※を定めています。クロウサギを含めた島の希少な生き物たちと私たちの身近な存在であるネコ、どちらも守っていくために、ネコの適正飼育について考えていく必要があります。
※ネコを飼育するためのルールについては大和村ホームページ「ねこの飼養・管理について」をご確認ください。
様々な取り組みによりアマミノクロウサギの生息数が増えている一方で、農作物への影響がでていることがわかってきました。もっとも影響が大きい農作物はタンカンです。
タンカンの主な生産地である大和村の福元地域はタンカン栽培に適した環境であると同時に、クロウサギをはじめ様々な生き物が暮らす自然豊かな場所です。
クロウサギは木の樹皮をかじる習性があり、タンカンの幼木(苗木)をかじることも確認されています。樹皮がかじられることで木の成長は妨げられ、あるいは木ごと枯れてしまうことでタンカンの生産量に大きな影響を及ぼしています。
農地ではクロウサギから幼木(苗木)を守るために囲いを設けたり、目の細かいフェンスを設置して侵入を防いだりしていますが、被害を防ぐ効果的な方法は見つかっていないのが現状です。
農作物を守るためにはクロウサギの運動能力や感覚能力を理解することが大切です。Quru Guruではクロウサギの生態や行動を研究し、農家の方々とともに効果的な対策を考えることでクロウサギによる農作物被害ゼロを目指します。
※大和村の主な農作物については大和村ホームページ「農産物の紹介」をご確認ください。
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